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びらとりで新規就農された先輩たちをご紹介します もどる すすむ
 奥さんが農業に積極的。それが成功の秘訣
 「農業、始めちゃってどうしようかと思ったけど、基本的に自分の我慢強い性格には向いていた。奥さんが旦那以上に農業に積極的。それが軌道に乗るまでの苦労を乗り切る秘訣ですね」
 現在、パイプハウス11棟、1,636坪のトマト専業農家として就農12年目を迎えた高橋賢司さんは、北海道千歳市の出身。大学を卒業後は、埼玉県で学習塾の講師をしていました。転職を考えていましたが、農業は全く考えてなかったと言います。そんな賢司さんの考えを変えたのは、奥さんの明日香さんだったとか。
「うちのカミさんは農業大学出身。生き物が好きだし、いずれは田舎で農業をやりたいと考えていたようです」
 高橋さんご夫妻が東京で開催された新規就農相談会に参加したのは、平成12年のことでした
 1年間吟味の末、娘さんの一言で平取での就農を決意
 北海道農業担い手育成センターの就農コーディネーターから、受入体制のしっかりしている平取町をいち押しで推薦されましたが、当初はまだ就農に対して積極的でなく、即決とはなりませんでした。本州の果樹産地へ問い合わせしたり、北海道の他町とも就農相談したりした結果、「酪農をやることも考えたけど、就農するには多額の資金が必要で、厳しかった。平取町は資金面でのハードルも『なんとかクリアできるかな』と」
 
 そして、平成13年に現地調査として家族で来町。訪問した紫雲古津実践農場でトマトの試食をした娘さんの「すごく美味しかった!」という一言が決定打になり、平取町での就農を決意したそうです。
 平成14年から受入農家の山崎雄一さんの指導を受けながら、紫雲古津実践農場で農業研修を開始。通常は数ヶ月間の農家実習を終えてから実践農場での研修となりますが、高橋さんは農家実習なしで研修に入りました。
「いきなり“実践”だったので、作業の手順もわからず苦労の連続でした。研修期間は考える暇もないほど、農作業に追われていましたね」
 
 その後、振内のリース農場で平成17年に就農。最初の1年間は、やはり苦労もあったようです。
 「農業用の井戸を掘ったんですが、思うように水が出なくて、結局7回も掘ったんです。そのたびに、受入農家の藤江一博さんに手伝ってもらい、本当に助かりました」
 就農して2年目から、農業のコツがだんだんわかってきた、という賢司さん。
「作業が遅れてしまったときは、トマトに『ごめんね』と声をかけるつもりで管理してあげる。トマトは、愛情をかければそのぶん答えてくれますから。2人の受入農家さんからも、農業での大切なポイントを教えてもらいました」
 山崎さんからは作物に接する心構えを、合理的な管理は藤江さんから教えていただいたそうです。
 新規就農者と既存農家は良きライバル
 「農業が好きだから、農作業は苦にならない」という明日香さん。
田舎暮らしにもすっかり慣れましたが、住宅だけが悩みの種でした。
「古い住宅だったので、寒いし、3人家族には手狭でした。何より、トマト栽培ハウスから離れていたので、娘を家に1人残して作業するのが心配で」。就農5年目にして、念願の新居も構えました。
 
 「地域での信用を得るには、まず農業に対して真剣に取り組むこと、良いものを(たくさん!?)生産することではないでしょうか。新規就農者も地域の農家の人たちもライバル心をもって農業に取り組む。お互いに良い刺激になっていると思います」と賢司さん。
 現在は、出荷用にトマトと小松菜のみを栽培していますが、今後は「自家消費用としても、いろいろな作物の栽培にチャレンジしたい。自分で作った小麦でパンを焼いたりしてみたいですね」